模擬試験の逐語問題に対するお問い合わせがいくつかありましたので、質問と回答をご紹介させていただきます。
問題1 正答が2とありますが、協会のテキストp154には、「場面構成」の意義として、次のように記載されています。
「クライエントは期待とともに不安や警戒などの気持ちを抱いて来訪するので、特に初回面接では、まずカウンセリング関係を理解してもらうことが必要である。そこでカウンセリングという場が提供する援助の特質を率直かつ性格に伝達するとともに、クライエントが安心してカウンセリングに参加できるようにする。ラポートづくりの機能も含む。」
ここからは、ラポートが場面構成に含まれるものと私は理解しました。
また、一般的にラポールは信頼関係の構築という知識はありましたが、ラポールづくり機能を否定してCO2の発言が場面構成でないとする理由には不十分のように思います。
何か他の理由、考え方がありましたら、ご教示いただければ幸いです。
回答)簡単受容でも、意味への応答でも、すべての技法に「ラポートづくりの機能」が含まれています。
「場面構成」は、あくまでも場面(枠)の設定についてのことで、料金や守秘義務、部屋の様子などのことです。
ですから、そのような場面構成について述べられていないので、解答は「ラポール」となります。
ただし、このあたりも協会は一貫しておらず、産業カウンセラー試験問題集(15・16年度)242ページのQ16.の解答は「5.場面構成」となっています。
選択肢に「ラポール」がなければ「場面構成」が、次に適切というくらいに押さえていただければと思います。
問13 正答は4ですが、CL2で、「部下の前で・・・耐えられない」と言っています。その上、さらに選択肢5の「他に・・・耐えられないようなことはありますか?」とたたみかけるように聴くのはCLの気持ちを傷つけることにはならないのでしょうか? 選択肢4は「部下の前で罵倒された」時の気持ちに焦点を充てたとは取れないでしょうか?
「他に・・・耐えられないようなことはありますか?」というのは、クライエントの実態の把握のために必要です。
反対に「部下の前で罵倒された」時の気持ちを聞くことによって、思い出したくないことを思い出させてしまう可能性があります。また、前段でいろいろ語られているし、つらい気持ちは、カウンセラーとして共感できると思います。「それぐらいわかってよ」とクライエントに思わせるのは、ラポール構築の足かせになってしまいます。
問15 正答は4ですが、「他の社員がCLの置かれている状況をどう捉えているか?という別な観点から焦点を充てた」と考え方は間違いでしょうか?
また、選択肢5は「話の流れをCO本位の立場で変える」ことになり、最も不適切であると私は判断しましたが・・・。
このご質問には正直、私自身が考えてしまいました。4も5も正解かな、と(申し訳ありません)。
ただ、作問者の意図からしますと、焦点を明らかにしようとする意図より、話が転職や勉強のこと(事柄の展開)に進む可能性が高かったことから、話の流れを変えようとしたという意味です。それと、焦点を明らかにするというより、事実(事柄)の確認という要素が強いということから、解答を「4」としております。
問17 正答は1「情報提供」となっておりますが、これは、CLn話を聴いてCOが感じたことを率直にCLに話しているので、「フィードバック」又は「自己開示」のほうが適切であるようにしか考えられませんが・・。
フィードバックは、クライエントのことをカウンセラーがどのように見ているかをクライエントに伝えることです。
自己開示も、カウンセラーが思っていることを伝えることですが、ここではクライエントに新しい視点を与えていますので、情報提供となります。
なお、この設問は未学習のものを含んでいますので、参考程度で結構です。
問19正答は2となっていますが、CO18の発言を受けて、「社長が成長していることに対して疑問を感じた」のが率直な感情だと考えられます。設問で「背後の感情は?」となっていますが、選択肢1と2の比較では1の方が大きいように私には感じられます。選択肢2が1を上回る感情であることを明確に理解するためは、どこに着目したらいいのでしょうか?
「1」のような感情があるとすると、カウンセラーはCO19のような応答をするでしょうか。 「どうしてこんなことをしないといけないのか」という気持ちがクライエントから感じられたことから、カウンセラーはその気持ちの整理の仕方として、事例をあげて説明しています。
しかも、この時点の会話では、クライエント自身のことを考えているので、急に社長のことが出てくるのも、不自然と思われます。
逐語の問題に関しては、なかなか納得できないところもあると思います。
また、解説を読んでも理解できないこともあるかもしれませんが、その場合は「悪問」と思っていただき、飛ばしていただいても良いかとも思います。
逐語Bのようなカウンセリングというのは、産業カウンセラー協会の今までの指導方 針と相容れないように思えます。
これですとカウンセリングというより、コンサルティングとか人生相談、コーチングの部類になりませんか?
あるいは今後はこういった問題傾向が大きくなるというお考えなのでしょうか?
指導方針と現実はかなり違うということですね。逐語2の問題は、協会の発行している『産業カウンセリングケース・スタディ 2005』に掲載されているもので、かつ熟練したカウンセラーの良い事例として挙げられています。
基本は事例1のような問題だと思いますが、事例2のような問題も想定されますので、出題しました。
事例問題の解答にあたっては、クライエントの「今、ここで」の気持ちに共感することが、ポイントかと思います。
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(おなけん)
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