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2005年5月22日 - 2005年5月28日の4件の記事

産業カウンセラーの役割(2)

まず、「A」についてですが、産業カウンセリングの対象とする事項は、集団生活に関連して起こる諸問題のみならず、その背景となる家族の問題や経済的問題、コミュニティの問題などである。よって、Aの記述は「不適切」となります。

次に、「B」は産業カウンセリングの対象とする人についてですが、勤労者だけではなく、経営者働き先を求めている人もその対象となります。働き先を求めている人に対しては、進路相談や職業選択の援助などを行います。Bも「不適切」となります。

「C」については、産業カウンセラーの活動領域についての問題ですが、詳細については次回に譲ります。解答は「不適切」で、リラクセーション指導は、産業カウンセラーの活動領域のなかに位置づけられているからです。

「D」を見るにあたって、「産業カウンセラー倫理綱領」第5条(カウンセラーの基本的立場)の規定を以下に記します。

第5条 産業カウンセラーは、勤労者のために、基本的人権を尊重し、ひいては産業社会に寄与するものである。従って、企業においても、その基本的立場を保持するよう努めなければならない。

  2 産業カウンセラーは、労働の現場、さらには企業組織のあり方等について必要な調査を行ない、組織論、人間行動科学、労働科学等を基礎に勤労者への援助に努める。

  3 産業カウンセラーは、その使命に鑑み、職務を行なうにあたっては、個人に対する面接はもとより個人に関わる環境に対しても援助活動を行なうものである。

    組織にあたっては、人事・労務などのほか、必要な場合は産業医、精神科医等と連携してクライエントへの援助を行なうものである。

第5条2項より、産業カウンセラーは組織に対して、人間関係や対人関係などの組織開発を援助することもその活動領域に含まれています。勤労者に問題が発生するのを食い止める、「予防的なアプローチも産業カウンセラーにとっての重要な役割です。このことより、「D」は「適切」です。

最後に、「E」は守秘義務についてですが、これは倫理綱領第10条1項に「産業カウンセラーは、職務上知り得た秘密を正当な理由なく他人に漏らしたり利用してはならない」と規定されています。この条文から、「正当な理由」があれば、守秘義務が解除されるということがわかります。この「正当な理由」は、本問のような産業保健チームとの連携によって、チーム構成員間で情報共有がなされ、勤労者への援助・支持が効果的に行なえる場合のことです。「正当な理由」は、勤労者にとってプラスの効果が期待できる場合と言えるでしょう。よって、本問は「適切」となります。

したがって、解答は「4」となります。

産業カウンセラーの役割(1)

産業カウンセリングは、カウンセリングを「産業の場」に適用するもので、勤労者の人間的成長を援助することがその目的です。

まず、「産業の場」とは、組織化された集団のことで、複数の人々が活動している場のことです。企業をはじめ、行政、学校、病院、非営利組織など、その対象は広範囲です。

次に、「人間的成長」とは、働く人の不安感や焦燥感、職場不適応などを解消するのと同時に、その人の一生涯にわたる発達を援助し、支持することです。つまり、「辛い」と言う人のその現状の解消だけではなく、人間的、社会的な能力の向上を促し、将来における困難、問題をも乗り越えることができるように援助・支持することです。

産業カウンセリングの対象・事項について、平成14年度の試験問題をもとに見ていきます。

「産業カウンセラーの役割や活動領域に関する次の記述のうち、適切でないものの組み合せはどれか?

A.産業カウンセラーは、産業組織で働く人々を対象として、職場生活に関連して起こる問題の解決や対処への援助を行う。背景となる家族や地域の問題等については必然的に対応課題からは除かれる。

B.産業カウンセラーの支援対象は、現に働いている人であり、働くことを求めている段階の人は対象とならない。

C.産業カウンセラーは、メンタルヘルス予防活動にも積極的に関与すべきであり、そのため自律訓練法などのリラクセーション指導技法を習得することが望ましいとの考え方がある。しかし、産業カウンセラーの行うべきことではない。

D.産業カウンセラーは、心理学的知識などを活用して労働現場や企業組織の調査・労働科学的解析を実施し、専門的見地から勤労者の働く場の改善についての提言を行うことが必要である。

E.産業カウンセラーとして、守秘義務は大切に考えなければならない。しかし、その上に立って産業保健チームとの成熟した連携を図ることは大切である。

1.AとB

2.BとC

3.CD

4.AとBとC

5.CとDとE」

解答・解説については、明後日までにアップします。

参考テキスト等について

当ページで紹介している本の位置付けを説明します。

まず、左上の「参考テキスト」ですが、これは通信の養成講座受講生に配布されるテキストです。通学、通信ともにメインのテキストは「産業カウンセリング入門」です。

右の「参考図書」は、(社)日本産業カウンセラー協会が、基礎的な図書として紹介しているものです。

左下の「オススメ」は、私が読んで面白かったもの、ためになったものを紹介します。この欄だけが今後増えて、構成が変わっていくと思います。先の2つはの欄は、このままです。

あと、皆さんからオススメの本がありましたら教えてください。ぜひ読んでみたいと思いますので。よろしくお願いします。

日本での産業カウンセリングの発展

日本での産業カウンセリングの揺籃期について、平成14年度の試験問題をもとに見ていきます。ちなみに、本試験では、( )内に入る語句の組合せを選択するものになっています。

「戦後まもなく、日本企業はアメリカから(人間関係管理)の考え方を導入し、そのひとつにカウンセリングの理論と技法があった。

日本電信電話公社)は、1954年から3年間試験的に実施した後、何箇所かの人事相談室を設け、専門の相談員を配置した。これが、日本での専任カウンセラー配置の最初である。

同社がこの制度を導入した理由は、①緊張や不平不満が作業能率に大きく影響すること②技術革新が起こり、人間関係面の配慮がより必要になったこと、などである。

これに少し遅れて、国際電信電話会社、(松下電器)、明電舎、国鉄、神戸製鉄などが導入した。

1960年)に「第一回産業カウンセリング全国研究大会」が、立教大学で開催され、全国組織の日本産業カウンセリング協会が誕生した。その年には、カウンセリング制度を導入しているところは(約40社)になった」

1952年に日本電信電話公社(現、NTT)が発足し、54年に同社がカウンセラー制度を試行的に導入したのが、日本における産業カウンセラーの先駆けとなりました。54年には、日米生産性向上委員会の設立がなされ、アメリカ的な経営方式が導入された時期でもあります。

1960年代の高度成長期、人手不足を背景に、企業は勤労者の足止め対策や、中途採用者の定着を目的としてカウンセリング体制の強化を目指した。

1990年代に入り、いわゆるバブルがはじけると、本当の豊かさが求められ、『生きがい』や『働きがい』という内面的な価値の欲求が高まる中、カウンセリングは心の時代の処方箋として脚光を浴びることとなった」(平成13年度の試験問題より)

バブル崩壊からの不景気、リストラ、成果主義の導入、将来に対する不安感など、様々な事象が現代人に降りかかっています。自分自身をしっかり持っていなければ、非常に辛い時代だと思います。「今、自分は何をすればいいのか?」、そんな不安を抱いている人が案外多いのかもしれません。

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