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2005年5月15日 - 2005年5月21日の3件の記事

アメリカでの産業カウンセリングの発展

アメリカでの産業カウンセリングの発展を促した研究について、平成13年度の試験問題をもとに見ていきます。ちなみに、本試験では、( )内に入る用語を回答群から選択するものになっています。

まず、カウンセリングの原点ともいわれているホーソン実験についての記述です。

「Ⅰ.ウエスタン・エレクトリック社ホーソン工場では、ハーバード大学と協力して、人間の労働についての(科学的)実験を行った。1924年のことである。「証明と生産性」「生産性と疲労」などについて、様々な角度から実験した。実験グループの生産性は(上昇)した」

メイヨーによって行われたこの実験は、カウンセリングの有用性を指摘したもので、経営学においてもインフォーマル組織の重要性を認識させた事例です。

実験当初は、物理的な作業条件が作業効率に影響すると想定されましたが、それ以上に人間関係の方が重要であることが確認された実験です。同社ではこの結果を受けて、1936年に人事相談を行う面接制度を発足し、45年には40名のカウンセラーを設置しました。

問題:「『ホーソン実験』は、G.E.メイヨーによって行われたもので、作業員の作業能率には、物理的な作業条件が重要であることを示した」○か×か?(過去問より)

次は、アメリカでも有数のデパートであったメーシー百貨店の事例です。

「Ⅱ.ホーソン向上の実験と同じ頃、メーシー百貨店では、(精神科医)のV.V.アンダーソンの指導の下、「問題従業員」について調査研究を行った。会社が問題としたことは、「態度が悪い」「神経質」「無関心」「上司に反抗的」などであった。アンダーソンの指導により、500人のうち、3分の2が働き続けたという。精神療法を行うことにより、適応をより高めることができた。このことは、本人にとっても、(企業)にとっても、カウンセリングアプローチがプラスになることを示唆した」

アンダーソンは「問題従業員を彼らの行動の兆候だけを見て問題視するのでなく、その行動の奥にある原因を調べて、精神療法を行うことによって、彼らの適応をより高めることができる。それは、本人のためだけでなく、会社としてのメリットもある」と述べています。従業員満足(ES)を高めることは、最終的には会社にとってプラス(採用コストや教育訓練の節約、顧客への適切な対応など)であることを示した事例です。

問題:「V.V.アンダーソンは、メーシー百貨店での研究で、問題のある従業員には、その行動の奥にある原因を調べ精神療法を行うことを提案した」○か×か?(過去問より)

アメリカの産業カウンセリングの中心的活動である「EAP(従業員援助制度)」についての記述です。

「Ⅲ.アメリカにおける産業カウンセリング制度は、1940年代半ばから、(アルコール依存症)の対策として、EAP(従業員援助制度)として、社会的ニーズに応じて発展し、今日では、(アルコール依存症)だけでなく、職場のメンタルヘルスを推進するシステムとして、アメリカの多数の企業がこれを活用している」

EAPの端緒は、デュポン社でアルコール依存症に陥った優秀な研究員の治療で、会社の損失対策として始められました。これが従業員と会社の双方にメリットがあることが認められ、現在では、アメリカの過半数の企業がEAPを導入しています。

「会社は人なり」で、従業員が健康で、活き活きと活躍している会社が、従業員にも会社にも良い効果を与えるということが確認された複数の事例で、産業カウンセリングの重要性を示唆するものでした。

カウンセリングの歴史

カウンセリングという言葉が今日のように使われ始めたのは、20世紀初頭のアメリカにおいてです。このカウンセリングの源流・土台となったのは、20世紀初頭の職業指導運動、精神測定運動、精神衛生運動の3つです。

職業指導運動

この運動は1909年に始まったとされています。当時は個人の適正など考慮されることなく、従業員は機械的に仕事を割りふられ、こなすだけでした。

しかし、それによって退職者が続出し、これを何とか改善できないかということで、「職業指導の父」といわれているパーソンズが「丸い釘は丸い穴に」というスローガンのもと職業指導運動を起こしました。

彼は1908年にボストンに職業指導局を開設し、適材適所を理念とし、職業指導を行いました。ここで指導を行う人を「カウンセラー」と呼び、彼らは職業の分析と個人の分析を結びつけることでした。

これ以降「職業カウンセリング」という言葉も生まれ、発展していきました。

教育測定運動

この運動は、端的に言うと心理テストの開発です。この運動の中心人物であるソーンダイクは、「すべて存在するものは量的に存在する。量的に存在するものはこれを測定することができる」というスローガンを発表しました。

これは、第一次世界大戦の影響を受けて急速に発展し、1930年代には戦時中に開発された心理テストの技術が教育界に適用されるようになり、測定運動の最盛期を迎えました。

ちなみに、ソーンダイクは、心理テストの発案者ではなく、心理テストの技術を教育の場に適用し、生徒を測定・指導を理論化で有名になった人です。

先の職業指導において、個人の分析方法は、職業の分析より遅れていたので、教育測定運動と結びつくことによって、より一層職業指導が発展していきました。

フランスでは、心理学者ビネーが、史上初めて知能検査を開発しました。1916年、ターマンによって標準化され、知能指数(IQ)が誕生しました。

精神衛生運動

これは、ビアーズが「全国精神衛生協会」を設立し、精神病患者の待遇改善を求めた運動です。

ビアーズ自信がうつ病で入院した経験があり、そのとき精神病院側はビアーズの内的世界を理解しようとせず、彼にひどい待遇をしていました。これに対して、彼は自分がどれだけ苦しんだかを訴え、患者の内的世界を理解し、治療がなされなければならないと主張しました。

患者の内的世界・内面を理解することが重要であることを提唱したこの運動は、その後のカウンセリングの発展に大きな影響を与えています。この運動がなく、前の2つの運動だけであったら、人間理解ということが欠落したカウンセリングになっていたと思われます。

カウンセリングは、人(クライエント)を理解し、その人とともに歩いていく姿勢が何よりも大切だということです。

産業カウンセラーの資格について

産業カウンセラーとは、 (社)日本産業カウンセラー協会認定の資格です。初級として「産業カウンセラー」、その上に「シニア産業カウンセラー」があります。いずれも試験を受けて合格しなければなりません。また、「産業カウンセラー」試験を受験するにあたっては受験資格があります。それは以下のとおりです。

1.大学において心理学又は心理学隣接諸科学を専攻し学士の学位を有する者

2.旧大学令による大学において、心理学又は心理学隣接諸科学を専攻し学士の学位を有する者

3.成年に達した後に、カウンセリング業務又は人事労務管理に従事した期間が通算4年以上である者

4.成年に達した者で、協会若しくは協会が他に委託して行う産業カウンセリングの学識及び技能を修得するための講座又は協会がこれと同等以上の水準にあるものとして指定した講座を修了した者

5.成年に達した者で、協会が行う産業カウンセラー通信講座を修了した者

ですから、今まで心理学及びそれに関連することを学んだことのない人は、4か5をクリアーするしかありません。4のための受講料は199,500円(消費税込、17年度)、5もほぼ同額です。金銭面でなかなか受講するのは思いきりがいると思います。私自身、受講するまで2年ほど考えて、ようやく受講しました。

受講して一番良かったことは、すばらしい仲間に出会えることです。それぞれ色々な目的で受講している人がいますが、みんな良いカウンセラーになりたいという思いで来ていますので、積極的で、元気で、力を与えてくれる人たちばかりです。

次に良かった点は、学習するテキスト等を知ることができ、産業カウンセリングの全体像を把握できたことです。ちなもにテキストは「産業カウンセリング入門」で、ここで購入できます

実技によって人の話を「聴く」練習をすることができるのも良い点です。

私はここでは、産業カウンセリングの全体像を記して行きたいと思っています。不定期な記入になると思いますが、よろしくお願いします。

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