アメリカでの産業カウンセリングの発展
アメリカでの産業カウンセリングの発展を促した研究について、平成13年度の試験問題をもとに見ていきます。ちなみに、本試験では、( )内に入る用語を回答群から選択するものになっています。
まず、カウンセリングの原点ともいわれているホーソン実験についての記述です。
「Ⅰ.ウエスタン・エレクトリック社ホーソン工場では、ハーバード大学と協力して、人間の労働についての(科学的)実験を行った。1924年のことである。「証明と生産性」「生産性と疲労」などについて、様々な角度から実験した。実験グループの生産性は(上昇)した」
メイヨーによって行われたこの実験は、カウンセリングの有用性を指摘したもので、経営学においてもインフォーマル組織の重要性を認識させた事例です。
実験当初は、物理的な作業条件が作業効率に影響すると想定されましたが、それ以上に人間関係の方が重要であることが確認された実験です。同社ではこの結果を受けて、1936年に人事相談を行う面接制度を発足し、45年には40名のカウンセラーを設置しました。
問題:「『ホーソン実験』は、G.E.メイヨーによって行われたもので、作業員の作業能率には、物理的な作業条件が重要であることを示した」○か×か?(過去問より)
次は、アメリカでも有数のデパートであったメーシー百貨店の事例です。
「Ⅱ.ホーソン向上の実験と同じ頃、メーシー百貨店では、(精神科医)のV.V.アンダーソンの指導の下、「問題従業員」について調査研究を行った。会社が問題としたことは、「態度が悪い」「神経質」「無関心」「上司に反抗的」などであった。アンダーソンの指導により、500人のうち、3分の2が働き続けたという。精神療法を行うことにより、適応をより高めることができた。このことは、本人にとっても、(企業)にとっても、カウンセリングアプローチがプラスになることを示唆した」
アンダーソンは「問題従業員を彼らの行動の兆候だけを見て問題視するのでなく、その行動の奥にある原因を調べて、精神療法を行うことによって、彼らの適応をより高めることができる。それは、本人のためだけでなく、会社としてのメリットもある」と述べています。従業員満足(ES)を高めることは、最終的には会社にとってプラス(採用コストや教育訓練の節約、顧客への適切な対応など)であることを示した事例です。
問題:「V.V.アンダーソンは、メーシー百貨店での研究で、問題のある従業員には、その行動の奥にある原因を調べ精神療法を行うことを提案した」○か×か?(過去問より)
アメリカの産業カウンセリングの中心的活動である「EAP(従業員援助制度)」についての記述です。
「Ⅲ.アメリカにおける産業カウンセリング制度は、1940年代半ばから、(アルコール依存症)の対策として、EAP(従業員援助制度)として、社会的ニーズに応じて発展し、今日では、(アルコール依存症)だけでなく、職場のメンタルヘルスを推進するシステムとして、アメリカの多数の企業がこれを活用している」
EAPの端緒は、デュポン社でアルコール依存症に陥った優秀な研究員の治療で、会社の損失対策として始められました。これが従業員と会社の双方にメリットがあることが認められ、現在では、アメリカの過半数の企業がEAPを導入しています。
「会社は人なり」で、従業員が健康で、活き活きと活躍している会社が、従業員にも会社にも良い効果を与えるということが確認された複数の事例で、産業カウンセリングの重要性を示唆するものでした。
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